〜 重電コングロマリットから高収益DX・グリッド巨頭へ、IT×OT×プロダクト統合の勝ち筋 〜

項目 / 内容 概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Lumada事業の成長加速 | 顧客データを活用した高収益デジタルソリューション「Lumada」の売上収益が3兆円を突破。全社売上の30%以上を占め、利益率改善を牽引 |
| 日立エナジーの送配電覇権 | 旧ABB送配電事業の買収統合が奏功。高圧直流送電(HVDC)および大型変圧器で世界トップシェアを握り、受注残高は4兆円超へ拡大 |
| AI電力需要と送電網特需 | 世界的なAIデータセンター急増に伴う深刻な電力網・変圧器不足を背景に、欧米の送電グリッド更新需要を独占的に獲得 |
| 事業純化と財務体質強化 | 日立化成・日立金属等の上場子会社売却を完了し、デジタル・グリーン・産業の3中核セクターへ資源を集中。営業利益率10%超へ定着 |
| Riroriの着眼点 | 単なる製造業から脱却し、AIの計算基盤(IT)と送電インフラ(OT/ハード)を世界規模で同時に握る唯一無二のグローバル巨人へ進化 |
〜 デジタルプラットフォーム「Lumada」の進化:ITとOTの融合がもたらす高収益化 〜
かつて日本の総合電機・重電の象徴であった日立製作所(6501)は、約10年間に及ぶ徹底したポートフォリオ改革を完遂し、世界有数のデジタル・インフラ企業へと完全に生まれ変わりました。その成長エンジンの中核に位置するのが、自社開発のデジタルソリューション基盤「Lumada(ルマーダ)」です。

Lumadaの強みは、鉄道、送電網、産業機器などの製造現場で長年培ってきた運用技術(OT:Operational Technology)のデータと、最先端のクラウドAI・データ解析(IT)を直結できる点にあります。GlobalLogicの買収を通じて獲得した約3万名のデジタルエンジニア軍団をテコに、顧客ごとの個別課題をアジャイルにソフトウェア化してサブスクリプション型サービスとして展開。Lumada事業の売上高は年間3兆円を突破し、全社営業利益率を2桁台へと押し上げる主因となっています。

〜 日立エナジーが牽引する送配電網ルネサンス:AIデータセンターとHVDC特需 〜
日立の変革におけるもう一つの決定的な勝因は、2020年に約1.1兆円を投じて買収したスイス重電大手ABBの送配電事業(現・日立エナジー)です。脱炭素に伴う洋上風力発電の連系需要に加え、生成AIの普及に伴う電力消費の爆発的増大によって、世界中で送電網(パワーグリッド)の大規模刷新が不可欠となっています。

特に送電ロスを最小限に抑えて長距離電力を送る高圧直流送電(HVDC)システムや超高圧大型変圧器において、日立エナジーは欧州・北米で圧倒的な市場シェアを誇ります。変圧器の納期が世界的に3〜4年待ちとなるなか、日立は製造拠点の拡張と長期フレームワーク契約の締結を先行させ、受注残高は4兆円を超える空前の水準に達しています。電力不足というAI時代のボトルネックそのものが、日立にとって最大のプロフィットセンターへと転換しています。

〜 Rirori’s Eye 〜
日立製作所の真の強さは、日立化成・日立金属・日立建機といった上場子会社を次々と売却して事業を「デジタル・グリーン・産業」の3軸に絞り込んだ強靭な経営規律にあります。

GE日立ニュークリア・エナジーが開発する小型モジュール炉(SMR:BWRX-300)の北米採用が進むなど、クリーンエネルギーの発電から送電、そしてLumadaによる電力最適化AIまでを網羅する体制は他社に真似のできない参入障壁です。「製造業のハードウェア」「送配電のインフラ」「最先端のAIソフトウェア」を三位一体で提供できる日立は、AI・脱炭素時代のメガトレンドにおいて世界で最も堅牢なポジショニングを確立した日本企業と言えます。
※1: 株式会社日立製作所 2026年3月期 決算説明資料およびInvestor Day事業戦略説明会資料を参照。
※2: 日立エナジー公式発表「グローバル送電網投資計画および受注状況リリース(2026年)」を参照。
