〜 グーグルTPU・メタMTIA・OpenAI専用チップと1.6T光通信スイッチが牽引するAI半導体売上1000億ドルへの道 〜
米半導体・インフラソフトウェア大手のブロードコム(Broadcom Inc. / AVGO)は、ハイパースケーラー各社による独自AIアクセラレータ(ASIC)の内製化需要と、超高速1.6T光通信ネットワークの需要爆発を背景に、AI半導体事業の売上高が前年同期比143%増の108億ドルを突破しました。
同社が保有するAI関連の受注残高(バックログ)は730億ドルに達しており、2027会計年度に向けたAI半導体売上高は1,000億ドル突破を見据えるなど、エヌビディアに次ぐAIインフラの絶対的勝者として急浮上しています。
本記事では、グーグル、メタ、OpenAIとのカスタムチップ開発動向、1.6Tイーサネットスイッチの市場独占力、そして今後の株価見通しについて解説します。
項目 / 内容 概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 直近AI半導体売上 | 四半期108億ドル(前年同期比 +143%増の急拡大)※1 |
| AI関連受注残高 | 730億ドル規模(強固な将来収益の可視性を確保)※1 |
| 主要受託開発先 | Google(TPU)、Meta(MTIA)、OpenAI(Jalapeno)※2 |
| 次世代通信インフラ | 1.6T光通信DSPおよび102.4T Tomahawk 6スイッチの独占供給※2 |
| 長期売上目標 | 2027会計年度にAI半導体部門で1,000億ドル超の達成を視野 |
〜 ビッグテック各社の独自ASIC内製化とブロードコムの独占的共創 〜
巨大クラウド事業者(ハイパースケーラー)は、高価な汎用GPU(エヌビディア製)への過度な依存とコスト増を回避するため、自社の特定AIワークロードに最適化した「独自カスタムシリコン(ASIC)」の開発を急速に進めています。
ブロードコムは、最先端のチップ間接続(インターコネクト)IPやパッケージング技術を武器に、グーグルの「TPU」やメタの「MTIA」の共同設計・製造を一手に担ってきました。さらに、OpenAIとの間でも推論特化型AIチップ「Jalapeno」をはじめとする10ギガワット規模のカスタムアクセラレータ共同開発契約を締結しました。
設計から量産までをワンストップで支援できる同社のIPポートフォリオは参入障壁が極めて高く、ビッグテック各社がAI投資を拡大するほどブロードコムの受注が積み上がる盤石なビジネスモデルを確立しています。
〜 1.6T光通信スイッチとAIデータセンターの第2の成長エンジン 〜
数万基規模のAIチップを連携させる超巨大データセンターにおいて、計算処理のボトルネックとなるのが「ネットワーク通信速度」です。
ブロードコムは、業界に先駆けて1.6T光通信デジタルシグナルプロセッサ(DSP)や、最大102.4Tbpsの帯域を処理する「Tomahawk 6」イーサネットスイッチを投入しました。AI半導体売上の約30%〜40%を占めるネットワーク部門は、GPUクラスターの規模拡大に比例して需要が急拡大しており、同社の収益性を支える第2の強力なエンジンとなっています。
オープンなイーサネット規格を主導することで、特定ベンダーの独自規格(InfiniBand)に対抗し、データセンターインフラの標準基盤としての支配力を強めています。
〜 Rirori’s Eye(編集部の視点) 〜
ブロードコムは「汎用GPUの販売競争」というボラティリティの高い領域から一歩引き、ビッグテックの「自社製チップ内製化」と「ネットワーク高速化」という不可逆なメガトレンドの交差点に位置しています。
買収したVMwareのエンタープライズソフトウェア事業が安定した高マージンのキャッシュフローを生み出し、それをAI半導体の研究開発と株主還元(増配・自社株買い)に再投資する循環構造は極めて強靭です。AIスーパーサイクルの本命銘柄として、ポートフォリオの中核に据えるべき優良銘柄と評価できます。
※1: 四半期業績数値およびAI受注残高はブロードコム公式決算発表資料に基づきます。
※2: カスタムチップ顧客動向および1.6Tネットワーク製品仕様は同社IRリリースならびに業界アナリスト推計に基づきます。

