注意事項

【2026/08/28】労働力調査7月:完全失業率2.4%へ低下、就業者は6850万人で横ばい

〜 原数値は前年同月と同数。季節調整値だけが改善している 〜

【全体像マップ】就業者6850万人の横ばい、完全失業者169万人、季節調整失業率2.4%、正規と非正規の内訳。四つの軸が7月の雇用統計を規定している。

労働力調査7月の就業者・完全失業者・失業率・雇用形態を四本柱で整理した全体像マップ
【全体像マップ】就業者、完全失業者、季節調整失業率、正規と非正規の内訳を四本柱で整理した概念図。中核は2026年7月の労働力調査。出所:労働力調査結果(総務省統計局)。

項目 / 内容 概要

項目 内容
対象 労働力調査(基本集計)2026年7月分。2026年8月28日公表※1
就業者(原数値) 6850万人。前年同月と同数※1
完全失業者(原数値) 169万人。前年同月と同数※1
完全失業率(季節調整値) 2.4%。前月に比べ0.1ポイントの低下※1
雇用形態(前年同月) 正規の職員・従業員+16万人、非正規+15万人※3

〜 失業率2.4%:原数値は動かず、季節調整だけが下がった 〜

総務省統計局は2026年8月28日、労働力調査(基本集計)の2026年(令和8年)7月分結果を公表した。※1 完全失業率(季節調整値)は2.4%と、前月に比べ0.1ポイント低下した。年平均は2023年2.6%、2024年2.5%、2025年2.5%。月次の季節調整値は2026年4月から6月まで2.5%が続き、7月に2.4%へ下がった。※1 見た目は改善である。

ただし原数値は動かない。就業者数は6850万人、完全失業者数は169万人。いずれも前年同月と同数である。※1 季節調整値では、就業者は前月比15万人の減少、完全失業者は8万人の減少だった。※3 失業率が下がったのは、就業者の積み増しではなく、完全失業者の減り方が就業者の減り方を上回った結果として読むほうが正確だ。

労働力調査の公表と雇用統計の点検を示す概念図
労働力調査の公表を示す概念図。原数値の就業者・完全失業者は前年同月と同数、季節調整失業率のみ2.4%へ低下。出所:労働力調査結果(総務省統計局)。

季節調整値の実数も確認する。就業者は6831万人、完全失業者は167万人。※2 原数値の6850万人・169万人とは系列が違う。前月比で見るなら季節調整、前年同月比で見るなら原数値、という使い分けが先に来る。7月のプリントは、前年同月比では変わっていない、前月比では失業率が0.1ポイント下がった、という二枚の絵が同時に出ている。

年平均2.5%の近傍で、月次が2.5%から2.4%へ一段階動いただけ、という位置づけでもある。0.1ポイントは労働力調査の振れの範囲に入りうる。単月の方向だけを材料にしない、というのが出発点になる。

完全失業率の季節調整値。2026年4月から6月は2.5%、7月は2.4%
完全失業率(季節調整値)の推移。2026年4月から6月は2.5%、7月は2.4%と前月比0.1ポイント低下。出所:労働力調査結果(総務省統計局、2026年8月28日公表)。

〜 正規+16万人、非正規+15万人。合計の横ばいは内訳の打ち消し 〜

原数値が横ばいでも、中身は止まっていない。雇用者数は6233万人と、前年同月に比べ36万人増えた。53か月連続の増加である。※2 一方、自営業主・家族従業者は592万人と、27万人減った。※2 就業者の合計が前年同月と同数なのは、雇用者の増加と自営業・家族従業の減少が打ち消し合っているためだ。

雇用形態別では、正規の職員・従業員が3736万人(前年同月比16万人増、33か月連続の増加)、非正規の職員・従業員が2143万人(同15万人増、4か月連続の増加)だった。※2 ※3 正規も非正規も増えている。どちらか一方が雇用を支えている構図ではない。

正規雇用と非正規雇用が並走して増えていることを示す概念図
正規と非正規の並走を示す概念図。正規の職員・従業員は前年同月比16万人増、非正規は15万人増。出所:労働力調査結果(総務省統計局)。

産業別の就業者は、生活関連サービス業,娯楽業が前年同月比13万人増、卸売業,小売業が15万人減だった。※3 業種の入れ替えが、全体の横ばいの下で起きている。求職理由別の完全失業者では、勤め先や事業の都合が1万人増、自発的な離職(自己都合)が5万人増、新たに求職が3万人減だった。※3 自己都合の増加は、職を失った人が増えたというより、移る人が増えた可能性を残す。断定はしない。単月の内訳にすぎない。

就業者の前年同月増減。正規プラス16万人、非正規プラス15万人、生活関連サービス業娯楽業プラス13万人、卸売業小売業マイナス15万人
就業者の前年同月増減の内訳。正規+16万人、非正規+15万人、生活関連サービス業,娯楽業+13万人、卸売業,小売業▲15万人。出所:労働力調査結果(総務省統計局)。

〜 Rirori’s Eye 〜

個人投資家として見るべきは、2.4%という季節調整値そのものより、原数値が前年同月と同数である点と、季節調整では就業者も完全失業者も減っている点の同時発生である。数字はすでに統計に乗っている。乗っていないのは、この改善が雇用の拡大なのか、労働供給の縮小なのか、という読み分けだ。

個人投資家が失業率2.4%と就業者の横ばいを並べて点検する概念図
個人投資家の点検ポイントを示す概念図。季節調整失業率2.4%と、就業者原数値の前年同月比ゼロを並べて読む。出所:労働力調査結果(総務省統計局)。

日本銀行が賃金と物価の循環を見るとき、完全失業率の水準は労働需給の逼迫度の代理変数になる。2.4%は低い。ただし就業者数が前年同月と同数なら、逼迫は加速ではなく高止まりに近い。正規と非正規が両方増えている事実は、雇用の質が一方的に崩れているわけではないことを示す。同時に、自営業・家族従業の減少が就業者の頭数を抑えている。賃金交渉と物価転嫁の材料としては、失業率の0.1ポイント低下より、就業者の前年同月比ゼロのほうを私は重く見る。

私の作業仮説は単純だ。7月のプリントは、雇用が急に緩んだ合図でも、急にタイトになった合図でもない。季節調整の改善と原数値の横ばいが共存している以上、単月の失業率低下を景気の転換点にしない。ポジションは小さく、次月以降も就業者の前年同月比と正規・非正規の内訳を並べて見る。

※1 総務省統計局「労働力調査(基本集計)2026年(令和8年)7月分結果」(2026年8月28日公表)。指数ページ https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html 。出典表記は労働力調査結果(総務省統計局)。

※2 同「結果の概要」PDF。https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf 。就業者(季節調整値)6831万人、完全失業者(季節調整値)167万人、雇用者6233万人、正規3736万人、非正規2143万人、自営業主・家族従業者592万人。

※3 同「(参考資料)調査結果の最近の動向等」PDF。https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/recent_trends.pdf 。正規+16万人、非正規+15万人、生活関連サービス業,娯楽業+13万人、卸売業,小売業▲15万人、季節調整値の就業者15万人減・完全失業者8万人減。