記事一覧

2日の往復を読む:ダウ1,569ドル高のあと1,833ドル安、指数ごとの差

2026年11月4日は3指数が上がり、5日は下がった。2日を足すと、ダウ0.51%安、S&P 500が2.84%安、ナスダック総合が4.17%安。往復で見える差と、原因を決めつけない読み方を整理する。

上がって下がる3本のブロックと、元の高さを示す点線の図(紺色と珊瑚色)

要点

  • 11月4日は3指数が上昇、5日は3指数が下落。2日を足すと3指数ともマイナスだった
  • 11月3日の終値比の2日合計は、ダウ0.51%安、S&P 500が2.84%安、ナスダック総合が4.17%安
  • ナスダック総合は11月4日に1.44%高、5日に5.52%安。同じ2日でも指数ごとに差が大きい
  • 11月4日の終値まで戻すには、ダウ3.56%、S&P 500 4.55%、ナスダック5.85%の上昇が必要(私の計算)
  • 下げの原因は1つに決まらない。報道は規制への懸念と利益確定の見方に分かれている

読む順番

  1. 3日分の終値を並べる11月3日・4日はAP報道、11月5日は複数の市況報道

    3指数の終値と前日比が、前日の終値から検算して合うか

    資料を開く
  2. 1日ごとの変化を率で比べる各日の前日比(%)

    ポイント幅でなく率で、指数同士を比べているか

    資料を開く
  3. 2日を合算して、元の水準との差を見る11月3日の終値と11月5日の終値

    往復のあとの差が、指数ごとにどれだけ違うか

    資料を開く
  4. 中身(個別銘柄)の差を見る11月5日の半導体株の下落率の報道

    指数の下げが、どの業種に偏っていたか

    資料を開く
  5. 事実と見方を分けて書き出す同じ報道の背景の記述

    「なぜ下がったか」が、誰の見方として書かれているか

    資料を開く

前回の記事では、中間選挙の翌日にあたる2026年11月4日の株高を読んだ。その翌日の11月5日(木)、米国市場は一転して大きく下がった。1日目に上がり、2日目に下がる。この「往復」を、2日分まとめて読むと、1日だけを見ていたときには見えない差が出てくる。この記事では、終値の事実だけを並べ、原因の断定は避ける。

結果ボックス(3日分の終値)

指数

11月3日終値

11月4日終値(前日比)

11月5日終値(前日比)

ダウ平均

51,786.72

53,356.12(1,569.40高)

51,523.06(1,833.06安)

S&P 500

7,568.92

7,688.62(119.70高)

7,353.73(334.89安)

ナスダック総合

25,372.01

25,736.51(364.50高)

24,315.00(1,421.52安)

11月3日と4日の終値はAP報道、11月5日の終値は複数の市況報道で一致した値である。11月5日の終値は、取引所や指数会社の公式の値とは突き合わせていない(本稿の限界は「まだ分からないこと」に書いた)。検算として、11月4日の終値から11月5日の変化幅を引くと、ダウは53,356.12から1,833.06を引いて51,523.06、S&P 500は7,688.62から334.89を引いて7,353.73になり、報道の終値と一致する(私の計算です)。ナスダック総合は25,736.51から1,421.52を引くと24,315.0で、報道の24,315.00と一致した(私の計算です)。

1日ごとの率を並べる

ポイント幅は指数の水準に左右されるので、指数同士は率で比べる。11月4日はダウが3.03%高、S&P 500が1.58%高、ナスダック総合が1.44%高だった。11月5日は、ダウが3.44%安、S&P 500が4.36%安、ナスダック総合が5.52%安だった。

注目したいのは、順位が入れ替わったことである。11月4日に最も大きく上がったのはダウだったが、11月5日に最も大きく下がったのはナスダック総合だった。ダウは上昇率が3.03%、下落率が3.44%とほぼ釣り合っている。一方でナスダック総合は、上昇率1.44%に対して下落率5.52%で、下げのほうがはるかに大きい。ポイント幅で見ても、ナスダック総合は364.50ポイント上がって1,421.52ポイント下がっており、下げ幅は上げ幅の約3.9倍だった(私の計算です)。

主要3指数の前日比:11月4日から11月5日へ

*図:主要3指数の前日比。11月4日は3指数とも上昇、11月5日は3指数とも下落した。出典:11月4日はAP報道、11月5日は市況報道(CNBC・Yahoo Finance・JournalArta)。公式終値は未対照。*

2日を足すと、どうなったか

11月3日の終値を基準にして、11月5日の終値との差を計算すると、次のようになる。

指数

11月3日終値

11月5日終値

2日合計(ポイント)

2日合計(%)

ダウ平均

51,786.72

51,523.06

263.66安

0.51%安

S&P 500

7,568.92

7,353.73

215.19安

2.84%安

ナスダック総合

25,372.01

24,315.00

1,057.01安

4.17%安

(表の合計はすべて私の計算です。ナスダック総合は、終値同士の差が1,057.01、日々の変化幅を足すと1,057.02になり、0.01の差は報道値の丸めによるものと考える)

2日間という単位で見ると、ダウはほぼ元の水準に近いところへ戻り、ナスダック総合は4%以上低い水準にある。「ダウが1,833ドル下がった」という見出しの大きさと、2日合計の大きさは別の話である。指数ごとに、往復の結果は違った。

戻すには、下げた率より大きい上昇率が要る

もう1つ、往復で気をつけたいのは、下げた率と、元に戻すために必要な率は同じではないことである。たとえばナスダック総合は、11月5日に5.52%下がった。しかし11月4日の終値の25,736.51まで戻すには、24,315.00から1,421.52を足す必要があり、これは24,315.00に対して5.85%の上昇にあたる(私の計算です)。同じ計算をすると、ダウは3.56%、S&P 500は4.55%になる。

指数

11月5日の下落率

11月4日の終値まで戻す上昇率

ダウ平均

3.44%

3.56%

S&P 500

4.36%

4.55%

ナスダック総合

5.52%

5.85%

下げた分と同じ率だけ上がっても、元には戻らない。これは相場の見通しではなく、割り算の性質の話である。下げが大きい指数ほど、この差も大きくなる。

下げた率と、戻すのに要る上昇率の比較

*図:11月5日の下落率と、11月4日の終値へ戻すのに要る上昇率。値は終値からの私の計算。出典:AP報道・市況報道。公式終値は未対照。*

指数の中身:下げは半導体株に偏っていた

11月5日の下げは、半導体株の動きが目立った。市況報道が伝える終値ベースの下落率は、エヌビディアが約9.3%安、AMDが17.26%安、ブロードコムが10.43%安だった。いずれも複数の報道で近い数字が確認できたが、報道ごとに終値と日中の値が混ざっていたため、ここでは終値として載っている数字だけを使っている。半導体株の下げが、ナスダック総合の5.52%安に重くのしかかったと見るのは自然だが、各銘柄の影響の大きさまでは、本稿では分解していない。

原因は1つに決めつけない

では、なぜ下がったのか。報道は、複数の見方を並べている。選挙の結果を受けて、データセンターの建設が遅れるのではないか、規制が強まるのではないか、という懸念を挙げる報道がある。11月4日の夜に、米国の上院議員がデータセンターの建設を止める提案をSNSに投稿したと伝える報道もある。一方で、ヘッジファンドが利益を確定した動きだと見るアナリストの見方も紹介されている。また、11月4日の取引終了後に決算を出した半導体関連企業の下落も、報じられている。

ここで大切なのは、これらを「事実」と「見方」に分けて持つことである。事実は、「誰が、いつ、何をしたか」と「終値がいくらだったか」だ。見方は、「だから下がった」という解釈で、報道ごと、人ごとに違う。11月5日の下げについて、特定の企業の発表が原因だったと確認できる記述は、本稿が確認した範囲にはなかった。複数の材料が重なった可能性があり、どれがどれだけ効いたかは、終値の数字だけでは決められない。

3つの読み間違いに注意する

読み間違い

正しい読み方

「ダウが1,833ドル下がった」の大きさで、市場全体の下げを判断する

ポイント幅は水準に左右される。率と、2日合計で見る。ダウの2日合計は0.51%安にとどまった

上がった率と同じだけ下がったのだから、プラマイゼロだと考える

率の足し引きでは元に戻らない。ナスダック総合は1.44%高のあと5.52%安で、2日合計は4.17%安だった

下げの原因を「選挙」や「AI規制」の一言で決める

報道は規制への懸念、利益確定、個別企業の決算など複数の見方に分かれている。事実と見方を分けて書く

次の確認点は、11月6日(金)22:30(日本時間)に発表予定の米国の10月分雇用統計である。この記事は発表前に書いており、数字は扱わない。2日分の動きがその後どう読まれるかは、発表文の数字が出てから、一次資料で確認することになる。

いまの自分のルール

急に上がった翌日に急に下がったら、2日を合算し、下げた率と戻すのに要る率の差も計算する。

まだ分からないこと

  • 11月5日の終値は市況報道の値であり、取引所や指数会社の公式の終値とは突き合わせていません。公式の値と数字が違う可能性は、完全には否定できません
  • 11月5日の下げの原因は確認できていません。特定の企業の発表が原因と確認できた記述はなく、報道の見方(規制への懸念、利益確定など)を紹介するにとどめました
  • 報道は「2025年4月以来の下げ幅」などと伝えていますが、何と比べたのかは記事ごとに違い、本稿では確認していません
  • 個別銘柄のうち、終値としての数字を複数の報道で確認できたものだけを載せました。それ以外の銘柄の下落率は、報道で値が割れたため使っていません
  • 11月6日の10月分雇用統計は発表前なので、どう出るかも、市場がどう反応するかも分かりません

Rirori's Eye

前日の記事で「上がった日こそ、全体と中身を分けて読む」と書いた翌日に、今度は下がった日が来ました。1日だけを見ていると、ダウの1,833ドル安という大きな数字に目が行きます。でも2日を足してみると、ダウの合計は0.51%安にとどまり、ナスダック総合は4.17%安でした。さらに、下げた率と戻すのに要る率が違うことも、割り算をして初めて実感できました。派手な見出しの数字より、2日分を並べた自分の計算のほうが、全体の形を教えてくれる。そんな日だったと感じます。

出典

  1. Stock market news for Nov. 5, 2026 — CNBC / 2026-11-05(URLの日付は11月4日だが、内容は11月5日の市場)
  2. Stock market today: Dow plunges 1,800 points, Nasdaq enters correction in AI trade meltdown — Yahoo Finance / 2026-11-05
  3. Wall Street close: Nasdaq sinks 5.52% and S&P 500 falls 4.36% as AI stocks slide — JournalArta / 2026-11-06
  4. The Stock Market Today Live, November 5, 2026 — StockTitan / 2026-11-05
  5. Stocks surge, and the Dow soars 1,500 points as oil prices tumble following the US midterm elections — Associated Press(Bastille Post転載) / 2026-11-04
  6. How major US stock indexes fared Tuesday 11/3/2026 — Associated Press / 2026-11-03