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日銀短観の業況判断DIはどう計算するか:「良い」から「悪い」を引く読み方

日銀短観の業況判断DIは、「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた%ポイントです。2026年9月調査(大企業製造業24、大企業非製造業35)を例に、計算と3つの読み間違いを整理しました。

アンケート用紙に記入する人のイラストと、天秤に載せた2つの人の集まりのイラスト(紺色と珊瑚色)

要点

  • 日銀短観は、日本銀行が四半期ごとに行う企業アンケートで、正式名称は全国企業短期経済観測調査である
  • 業況判断DIは、「良い」の回答社数構成比から「悪い」の構成比を引いた値で、単位は%ポイントである
  • 2026年9月調査の業況判断DIは、大企業製造業が24、大企業非製造業が35、全規模全産業が21だった
  • DIは「良い企業の割合」そのものではなく、真ん中の「さほど良くない」の回答は引き算には直接出てこない
  • 足元の数字と先行きの数字は別々の回答で、9月調査では3つの区分すべてで先行きが足元を下回った

読む順番

  1. 計算式を確認する日本銀行「短観(概要)―2026年9月―」の業況判断の注

    「良い」から「悪い」を引く、単位は%ポイント

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  2. 最新の見出しを確認する同じ概要の業況判断の表

    大企業製造業・大企業非製造業・全規模全産業の最近と先行き

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  3. 調査の範囲を確認する同じ概要の調査対象と回答の欄

    対象9,104社、回答率99.4%、回答期間8月26日から9月30日

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短観のニュースで「大企業製造業のDIはプラス24」と聞いたとき、この24は何を数えた数字なのか、立ち止まって確かめたことはあるでしょうか。24%の企業が良いと答えた、という意味ではありません。この記事では、日本銀行の2026年9月調査の概要を例に、業況判断DIの計算と読み方を整理します。

結果ボックス(2026年9月調査、日本銀行、10月1日公表)

区分

6月調査(最近)

9月調査(最近)

変化幅

9月調査(先行き)

大企業・製造業

22

24

+2ポイント

21

大企業・非製造業

37

35

-2ポイント

30

全規模・全産業

18

21

+3ポイント

15

調査対象は全国企業9,104社、回答率は99.4%、回答期間は8月26日から9月30日でした。公表は10月1日8時50分です。

業況判断DI:2026年6月調査と9月調査(最近・先行き)

*図:業況判断DIの6月調査・9月調査(最近)・9月調査(先行き)の比較。出典:日本銀行「短観(概要)―2026年9月―」。*

計算式は「良い」から「悪い」を引くだけ

業況判断では、企業は自社の業況について「収益を中心とした全般的な業況」を「良い」「さほど良くない」「悪い」の3つの選択肢から答えます。DIの計算は次の1行です。

業況判断DI(%ポイント)=「良い」の回答社数構成比(%)−「悪い」の回答社数構成比(%)

ここで大事なのは、真ん中の「さほど良くない」の回答は、引き算の式には直接出てこないことです。ただし、分母には含まれています。構成比は回答企業全体に対する割合なので、「さほど良くない」が多い調査では、良いと悪いの差が小さく出やすくなります。DIがプラス20だからといって、企業の20%だけが良いと答えた、という読み方は間違いです。次の計算例で確かめてみましょう。

計算例で確かめる:DIが+20のとき、何が分かるか

下の図は、計算の仕組みを示すための架空の数字です。実際の2026年9月調査の回答の内訳ではありません。

計算例:DI = 30% − 10% = +20ポイント(架空の数字)

*図:計算例の回答構成(良い30%、さほど良くない60%、悪い10%)。DIは30−10=+20ポイント。この図の数字は仕組みの説明のための架空の数字で、実際の調査の内訳ではない。*

この例では、良いと答えた企業は30%、悪いと答えた企業は10%で、差し引き+20ポイントです。残りの60%は「さほど良くない」と答えています。つまりDI+20は「良いが悪いのを20ポイント上回った」という差の大きさであって、「良い企業が20%」でも「企業の景気が20%良くなった」でもありません。単位が%ではなく%ポイントである理由もここにあります。2つの割合の差なので、変化幅も「%」ではなく「ポイント」で読みます。9月調査の大企業製造業でいえば、22から24への変化は「2%上がった」ではなく「2ポイント改善した」と読むのが筋です。

9月調査を読む:足元と先行きを並べる

9月調査の見出しを、足元と先行きを並べて読むと、次の3点が整理できます。

読み方

9月調査で確認できること

水準

大企業非製造業の35が、大企業製造業の24や全規模全産業の21より高い

前回からの変化

大企業製造業は+2ポイント、全規模全産業は+3ポイントの改善、大企業非製造業は-2ポイントの悪化

先行きとの向き

3つの区分すべてで、先行きが足元を下回る(製造業24から21、非製造業35から30、全産業21から15)

「最近」は回答時点の業況、「先行き」は3か月後までの見通しとして聞かれています。先行きが足元より低いことは、企業が3か月後を今より慎重に見ている、という回答の向きを示しています。ただし、先行きはあくまでその時点の企業の見通しの集計であり、3か月後の実際の業況を予告する数字ではありません。ここも線を引いておきたいところです。

3つの読み間違いに注意する

短観のDIを読むとき、とくに間違えやすい点を3つにまとめます。

読み間違い

正しい読み方

DIの数字を「良い企業の割合」と読む

DIは良いと悪いの構成比の差。真ん中の回答は式に出てこないが分母には入る

変化を「%」で読む

単位は%ポイント。22から24は「2ポイントの改善」

DIひとつで景気全体を判断する

DIは企業の回答の集計で、日銀の景気判断そのものではない。規模・業種・先行きと分けて読む

短観には、業況判断のほかに、売上・利益・設備投資の計画や物価見通しなども入っています。DIひとつだけを取り出して結論を急がず、同じ調査の中の別の項目と並べて読むのが、このサイトの読み方の基本です。次回は12月調査です。公表されたら、同じ順番――計算式、見出しの水準と変化、足元と先行きの向き――で読めば、前回との比較がぶれにくくなります。

いまの自分のルール

DIを見たら、まず差と単位を言い換え、水準・変化・先行きの3つを並べて読む。DIひとつで判断しない。

まだ分からないこと

  • 2026年9月調査の「良い」「さほど良くない」「悪い」それぞれの回答社数構成比の実数は、この記事では確認していません。概要の選択肢別表に載っていますが、今回の確認では表の読み取りが確実でなかったため、実数の内訳は使わず、計算例は架空の数字で示しました
  • 業種別のDIの動き(どの業種が改善・悪化したか)は、この記事では確認していません。概要の業種別表を開けば追えます
  • 次回(12月調査)の公表日は、この記事では日銀の公表予定表で直接確認していません。公表時期が近づいたら予定表で確かめるのが順番です
  • 短観の結果から日銀が今後どう判断するかは、この記事では扱いません。企業の回答の集計と政策の判断は別の話です

Rirori's Eye

「DIはプラス24」という見出しは、つい「24%の企業が好調」と読みたくなります。でも式に立ち返ると、24は良いと悪いの差であって、真ん中の「さほど良くない」という大多数の声は式の外に隠れています。差だけを見るか、構成まで見るか。その一手間が、短観のニュースを「景気が良い・悪い」の二択で終わらせないために、一番効くと感じました。次回の12月調査も、まず構成のイメージを持ってから見出しを読みたいと思います。

出典

  1. 短観(概要)―2026年9月― — 日本銀行 / 2026-10-01