インテル株−28.6%、ナスダック−2.86%|決算は良かったのに売られた理由を一次資料で確かめる
10月30日の米国市場でインテル株が−28.6%と急落し、ナスダックも−2.86%の下げになりました。第3四半期の実績は予想を上回っていたのに、なぜ売られたのか。会社の公式発表で、実績と見通しを分けて確かめました。

要点
- 10月30日、インテル株は−28.58%、ナスダック総合は−2.86%(6月5日以来の下落率)で取引を終えた
- インテルの第3四半期の実績(売上高$16.5B、非GAAP EPS $0.52)は市場予想を上回っていた
- 売られた理由は実績ではなく、第4四半期の見通し(売上高$15.0〜16.0B、EPS $0.25)が市場予想(約$17.1B、約$0.43)を大きく下回ったこと
- 会社は理由として、PC市場の減速、イスラエル工場の事故(四半期あたり約$300Mの押し下げ)、供給制約を挙げた
- 同日に決算が重なったアマゾンの内容も重なり、「AI投資は回収できるのか」という問いが半導体全体に広がった
読む順番
10月30日(金)の米国市場は、今年でも指折りの下落になりました。中心にいたのは、前日夕方に決算を発表したインテルです。
銘柄・指数 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
インテル (INTC) | $65.76 | −28.58% |
ナスダック総合 | 25,437.00 | −2.86% |
S&P500 | 7,580.07 | −1.82% |
ダウ平均 | 51,770.31 | −1.09% |

決算そのものは「良かった」
インテル公式発表(10月29日)で確認できた第3四半期の実績は、市場の予想を上回る内容でした。
- 売上高: $16.5B(前年同期比 +21%)
- EPS: GAAP $0.60 / 非GAAP $0.52(市場予想は約$0.40)
- 非GAAP粗利率: 44.1%
部門別に見ると、伸びている部門と縮んでいる部門がはっきり分かれます。データセンター・AI部門は$7.3Bで前年同期比+78%(会社は「15年ぶりの高い伸び」と説明)、一方でPC向けのクライアント部門は$8.1Bで同−5%でした。

売られた理由は「次の四半期」の数字
問題は実績ではなく、会社が出した第4四半期の見通しでした。
- 売上高見通し: $15.0〜16.0B(市場予想 約$17.1B)
- 非GAAP EPS見通し: $0.25(市場予想 約$0.43)
- 非GAAP粗利率見通し: 38.0%(第3四半期の44.1%から低下)

会社側が挙げた要因は大きく3つあります。
- PC市場の減速 — メモリ価格の上昇がPC需要を圧迫し、減速は「少なくとも2027年前半まで続く」というのが経営陣の見立てです。
- イスラエル工場の事故 — 10月14日にキルヤット・ガットの工場で起きた事故による操業停止の影響が、四半期あたり約$300Mの売上押し下げになるとCFOが説明しました(第4四半期と2027年第1四半期に同様の影響見込み)。
- 供給の制約 — 需要の強いサーバー向けCPU (Xeon) は、需要に対して供給を増やすことが当面の課題だと会社自身が認めています。
なぜ市場全体に広がったのか
同じ日に決算が重なったアマゾンも、第3四半期の売上高$201.9B(前年同期比+12%)・EPS $1.89が市場予想にわずかに届かず、過去12か月のフリーキャッシュフローが−$42.4Bになったこと、2026年の設備投資計画 約$220Bが維持されたことが改めて意識されました。「AIへの巨額投資は、いつ・どれだけ回収できるのか」という問いが、インテルの弱い見通しをきっかけに半導体全体へ広がった、というのがこの日の構図です。なお、アマゾンの株価そのものは取引時間中に下げ幅を縮めたと報じられており、半導体への波及とアマゾン株の動きは別々に見る必要があります。
いまの自分のルール
決算を見るときは、実績の良し悪しより先に、会社が出した次の四半期の見通し(売上高・EPS・粗利率)と市場予想との差を、公式発表で確かめる。
まだ分からないこと
- 今回の下落が「AI投資の回収」への疑念による一時的な調整なのか、投資サイクルそのものの転換なのかは、この1日だけでは判断できません
- インテルの見通し悪化のうち、PC減速・工場事故・供給制約がそれぞれどれだけの割合を占めるのか、会社は内訳を示していません
- 来週以降の半導体各社・大手ITの決算と見通しが、同じ方向を示すかどうかはまだ分かりません
Rirori's Eye
実績が予想を上回っても、株価は「次の数字」を見て動く、という当たり前のことを、これだけ大きな下落率で改めて見た一日でした。実績と見通しを分けて読む癖をつけるためにも、決算の日はまず会社の公式発表そのものを開く、という順番を続けたいと思います。


