Appleの2026会計年度第4四半期を読む:売上高1,144億ドルと部門別の増減
Appleの2026会計年度第4四半期(2026年9月26日終了)の売上高は1,144億7,700万ドルで、前年同期比11.7%増でした。iPhoneとサービスが過去最高、Macが大きく伸びる一方、iPadとウェアラブル等は減りました。発表文の表から読み方を整理します。

要点
- Appleの2026会計年度第4四半期(2026年9月26日終了)の売上高は1,144億7,700万ドルで、前年同期比11.7%増だった
- iPhoneは575億8,300万ドル(同17.5%増)で9月期として過去最高、サービスは315億7,300万ドルで過去最高だった
- 増えたのはiPhoneとMacとサービス、減ったのはiPadとウェアラブル等で、増減は部門で分かれた
- 粗利率は47.9%で、会社は関税還付が約1ポイント押し上げたと説明している
- この発表文自体には12月期の売上見通しの数字は入っていない
読む順番
2026年11月2日の米国市場は、ダウ平均が上がり、S&P 500とナスダック総合が下がる分かれた引けでした。Appleの決算は、その取引が終わった後に発表されました。つまり、この日の終値にはこの決算の内容はまだ反映されていません。まずはその順番を押さえたうえで、発表文そのものを読んでいきます。
結果ボックス(Apple、2026会計年度第4四半期、2026年9月26日終了、2026年11月2日公表)
項目 | 2026年9月期 | 前年同期 | 増減(私の計算です) |
|---|---|---|---|
売上高 | 1,144億7,700万ドル | 1,024億6,600万ドル | 11.7%増 |
純利益 | 307億1,100万ドル | 274億6,600万ドル | 11.8%増 |
希薄化後EPS | 2.10ドル | 1.85ドル | 13.5%増(表示値からの計算) |
粗利率 | 47.9% | 47.2%(表示値からの計算) | 0.7ポイント上昇 |
通年売上高 | 4,788億3,400万ドル | 4,161億6,100万ドル | 15.1%増 |
会社は売上高を12%増、EPSを14%増と表示しています。表示された金額(売上高1,144億7,700万ドルと1,024億6,600万ドル、EPS 2.10ドルと1.85ドル)で割り算すると、それぞれ11.7%増と13.5%増になります。見出しの%と表の金額から計算した%が少しずれるのは、表示の丸めの桁が違うためです。どちらの数字も間違いではなく、読み手は「見出しは丸めた表示、表の金額が元の数字に近い」と区別して読むのが筋です。
部門別に読む:増えた部門と減った部門が分かれた

*図:部門別売上高の前年同期比較。出典:Apple「Apple reports fourth quarter results」の「Net sales by category」の表。単位は10億ドル。*
部門 | 2026年9月期 | 前年同期 | 増減(私の計算です) |
|---|---|---|---|
iPhone | 575億8,300万ドル | 490億2,500万ドル | 17.5%増 |
Mac | 107億9,200万ドル | 87億2,600万ドル | 23.7%増 |
iPad | 62億2,900万ドル | 69億5,200万ドル | 10.4%減 |
ウェアラブル・ホーム・アクセサリー | 83億ドル | 90億1,300万ドル | 7.9%減 |
サービス | 315億7,300万ドル | 287億5,000万ドル | 9.8%増 |
会社は、iPhoneの売上高とEPSが9月期として過去最高、サービスが過去最高だと説明しています。増減率で見ると、最も伸びたのはMacの23.7%増で、金額の増加幅で見ると、最も大きいのはiPhoneの約85億6,000万ドル増です。率と金額は別の話で、両方を並べて見ないと「何が全体を引っ張ったか」がつかめません。全体の売上高の増加幅は約120億ドルで、そのうちiPhoneだけで約86億ドル、つまり増加幅の約7割をiPhoneが占めています(私の計算です)。
構成で読む:iPhoneが半分、サービスが4分の1強

*図:2026年9月期の売上高構成。構成比は発表文の部門別金額からの私の計算です。合計は1,144億7,700万ドル。*
構成比に直すと、iPhoneが50.3%、サービスが27.6%で、この2つだけで全体の約78%になります。Macは9.4%、ウェアラブル等は7.3%、iPadは5.4%です。構成で読む利点は、「増減率が大きくても、全体に占める割合が小さければ全体への影響は限られる」と分かることです。たとえばMacの23.7%増は率では最も大きいですが、金額の増加幅は約21億ドルで、iPhoneの増加幅の4分の1ほどです。逆にサービスは9.8%増と率では控えめですが、金額では約28億ドル増えています。
地域別に読む:日本だけが前年同期を下回った
地域 | 2026年9月期 | 前年同期 | 増減(私の計算です) |
|---|---|---|---|
米州 | 486億8,000万ドル | 441億9,200万ドル | 10.2%増 |
欧州 | 320億800万ドル | 287億300万ドル | 11.5%増 |
中華圏 | 175億3,900万ドル | 144億9,300万ドル | 21.0%増 |
日本 | 65億4,000万ドル | 66億3,600万ドル | 1.4%減 |
その他アジア太平洋 | 97億1,000万ドル | 84億4,200万ドル | 15.0%増 |
地域別では、日本だけが前年同期を下回りました。ただし、この発表文の表だけでは、なぜ日本が減ったかは分かりません。為替の影響か、製品構成の違いか、販売時期のずれか。発表文にその内訳は書かれていないので、理由を断定せず「表から分かるのは金額の増減まで」と線を引いておきます。
粗利率と関税還付:47.9%の中身を分けて読む
粗利率は、売上総利益548億2,000万ドルを売上高で割った47.9%です。会社は、この47.9%には関税還付による約1ポイントのプラスの影響が含まれていると説明しています。EPSについても、2.10ドルのうち0.05ドルが関税還付によるものだと会社は説明しています。つまり、粗利率とEPSを読むときは「還付がなかった場合の水準」を別に考える余地がある、ということです。還付を除いた数字を会社が直接示しているわけではないので、ここでは「約1ポイント」「0.05ドル」という会社の説明の範囲で止めておきます。
発表文にないもの:12月期の見通しはこの文書にはない
この発表文を探しても、12月期の売上見通しの数字は出てきません。配当の発表(1株当たり0.27ドル、支払日2026年11月16日、基準日2026年11月12日)はありますが、来期の見通しはこの文書の範囲外です。決算のニュースで「見通しがどうだったか」という話が出てきたら、それが発表文の数字なのか、決算説明会での発言なのかを区別して確認するのが順番です。今回は説明会の発言を一次資料で確認できていないので、この記事では扱いません。
3つの読み間違いに注意する
読み間違い | 正しい読み方 |
|---|---|
見出しの12%増だけを覚える | 表の金額から計算すると11.7%増。見出しは丸めた表示で、金額が元の数字に近い |
増減率が大きい部門が全体を引っ張ったと読む | 率と金額の増加幅は別。増加幅ではiPhoneが全体の約7割を占める |
部門の増減から理由を断定する | 発表文の表には理由の内訳がない。日本が減った理由も、表だけでは分からない |
決算を読むときの基本は、見出し→部門別→地域別→通年という順番で、金額・増減率・構成比の3つを並べることです。1つの数字だけを取り出して結論を急がず、表の金額に立ち返る。その一手間が、決算のニュースを「良かった・悪かった」の二択で終わらせないために、一番効きます。
いまの自分のルール
見出しの%は表の金額で割り直し、増減は率と金額と構成比の3つを並べて読む。発表文にない理由や見通しは、別の資料で確認するまで断定しない。
まだ分からないこと
- この発表文だけでは、新製品の発売日と四半期に含まれる販売期間の区切りは読み取れません。CEOの発言には新製品の名前が出てきますが、日付はこの発表文にはありません
- 決算説明会での経営陣の発言(12月期の見通しを含む)は、一次資料の会見記録で確認できていないため、この記事では使っていません
- 株価の時間外の動きは、報道によって伝え方が異なり一次資料で確認できないため、この記事では使っていません
- 日本の売上高が前年同期比で減った理由は、この発表文の表だけでは分かりません。為替・製品構成・販売時期のどれが効いたかは発表文に書かれていません
- 関税還付を除いた粗利率とEPSの水準は、会社が直接示していないため、この記事では計算していません
Rirori's Eye
決算の見出しは「売上高1,144億ドル、12%増」とすっきりしています。でも表を開くと、増えた部門と減った部門がはっきり分かれ、日本だけが減り、粗利率には関税還付が入っている。見出しの気持ちよさに乗るか、表の分かれ目まで見るか。その一手間が、決算を「企業の成績表」ではなく「どこが伸びて、どこが弱いか」の地図として読むための分かれ道だと感じました。次に決算を読むときも、まず部門別と地域別の表を開くところから始めたいと思います。


