米雇用統計 2026年10月分:予想+6.5万人に対し結果は+16.5万人 ― 改定込みで読む
2026年10月の米雇用者数は+16.5万人で、前日夜の予想(Forex Factory)+6.5万人を上回った。8月は+13.3万→+18.6万人、9月は+2.9万→+6.0万人に改定され、合計8.4万人の上方修正だった。

要点
- 10月のNFPは+16.5万人で、市場予想(Forex Factory)の+6.5万人を10.0万人上回った
- 8月は+13.3万→+18.6万人、9月は+2.9万→+6.0万人に改定。合計8.4万人の上方修正
- 8月は+16.2万→+13.3万→+18.6万人と、3つ目の数字になった。見出しは最終値ではない
- 失業率は4.1%(9月は4.2%)、平均時給は38.00ドルで前月比0.4%、前年比3.1%
- 改定後の3か月平均は13.7万人。改定前の数字で計算した10.9万人より2.8万人高い
読む順番
- 見出しの数字を確認するBLS「Employment Situation Summary」の冒頭
10月のNFP・失業率と、8月・9月の改定
資料を開く - 改定を表で確かめるBLS発表文の表B(事業所調査)と改定の記述
8月・9月の修正前後の数字と、合計の差
資料を開く - 失業率・参加率を見るBLS発表文の表A(世帯調査)
NFPと同じ方向か。失業者数・参加率・雇用人口比率
資料を開く - 予想との差を、参考値として見るForex Factoryの表示値(2026年11月5日21:00 JST時点)
どの数字で予想とずれたか
資料を開く - 同日の引けと利回りを確認する米財務省の日次イールドカーブ、市況報道の終値
10年債・2年債の利回りと、3指数の終値
資料を開く
2026年11月6日(金)22:30(日本時間)、米労働統計局(BLS)が10月分の雇用統計を発表した。見出しの非農業部門雇用者数(NFP)は+16.5万人。前日夜の予想を大きく上回った。ただ、この発表で本当に読むべきなのは、見出しの横に並んだ「前の2か月の改定」である。8月と9月が、合わせて8.4万人も上に直されていた。
結果ボックス(2026年10月分、11月6日発表)
項目 | 前回(9月分) | 市場予想 | 結果(10月分) | 差(結果−予想) |
|---|---|---|---|---|
非農業部門雇用者数(前月差) | +6.0万人(改定後。発表時は+2.9万人) | +6.5万人 | +16.5万人 | +10.0万人 |
失業率 | 4.2% | 4.2% | 4.1% | −0.1ポイント |
平均時給(前月比) | 0.1% | 0.3% | 0.4% | +0.1ポイント |
結果と前回はBLSの発表文の値。「前回」は、9月分が今回の発表で改定された後の値を主にして、発表時の値も併記した。市場予想はForex Factoryの表示値で、2026年11月5日21:00(日本時間)に確認した記録である。予想は媒体によってばらつきがあり、発表直前までに変わることもあるため、予想との差は参考値として見る。差の列は私の計算です。
何が予想と違ったか
予想と最も大きくずれたのはNFPで、予想の+6.5万人に対して結果は+16.5万人だった。差は10.0万人(私の計算です)。過去12か月の月平均は+4.8万人だとBLSは書いており、10月の+16.5万人はその約3.4倍にあたる(私の計算です)。失業率は予想の4.2%より0.1ポイント低い4.1%、平均時給の前月比も予想の0.3%を0.1ポイント上回る0.4%だった。3つの数字がそろって予想より強い側に出た。
ただし、「予想を上回った」ことと「強い雇用だった」ことは別の話である。単月の見出しは後から変わるので、強弱の判断は改定まで見てからにする、というのが10月28日の記事で確かめたルールだった(米雇用統計の見出しはどこまで読むか)。
改定の読み方:8月は3つ目の数字になった
BLSは今回、8月と9月の数字を上に直した。発表文には、8月分が+13.3万人から+18.6万人へ5.3万人、9月分が+2.9万人から+6.0万人へ3.1万人、それぞれ上方修正されたと書かれている。
月 | 9月4日発表 | 10月2日発表 | 11月6日発表(今回) |
|---|---|---|---|
8月 | +16.2万人(最初の数字) | +13.3万人(2つ目) | +18.6万人(3つ目) |
9月 | ― | +2.9万人(最初の数字) | +6.0万人(2つ目) |
8月の最初の+16.2万人と、2回目の+13.3万人は、10月28日の記事で確認した数字である。今回の+18.6万人は、BLSの発表文の記述から確認した。8月分は、最初の数字から見ると、2.9万人下がってから、最初より2.4万人高い水準まで上がったことになる(私の計算です)。1つの月の数字が、3回の発表で+16.2万、+13.3万、+18.6万と動いた。9月分も、最初の+2.9万人から+6.0万人へ、2倍強になった。

*図:8月分と9月分のNFP(前月差)の、発表ごとの数字。8月は+16.2万→+13.3万→+18.6万人、9月は+2.9万→+6.0万人。出典:米労働統計局(BLS)雇用統計の発表資料。8月分の最初の2つは10月28日の記事で確認した値。*
8月と9月の改定の合計は8.4万人で、10月の見出しの+16.5万人の約半分にあたる(私の計算です)。見出しだけを見ていると、この8.4万人は目に入らない。
では、改定を入れると景色はどう変わるか。8月・9月・10月の3か月平均で比べる。

*図:8月・9月・10月の3か月合計が、改定でどう積み上がったか。単位は万人。出典:BLS雇用統計(2026年10月分)の数字からの私の計算。「改定前」は前回の発表までの8月・9月の数字を使った参考の計算で、BLSが公表した数字ではない。*
3か月平均 | 8月 | 9月 | 10月 | 合計 | 平均 |
|---|---|---|---|---|---|
改定前の数字(今回の発表の前に報告されていた8月・9月と、10月) | +13.3万人 | +2.9万人 | +16.5万人 | 32.7万人 | 約10.9万人 |
改定後の数字(今回の発表) | +18.6万人 | +6.0万人 | +16.5万人 | 41.1万人 | 約13.7万人 |
(表の合計と平均は私の計算です。「改定前」は、10月の+16.5万人に、前回の発表までの8月・9月の数字を足した参考の計算である。BLSが公表した数字ではありません)
3か月平均は2.8万人高くなる。改定前の数字で計算した10.9万人でも、過去12か月の月平均の4.8万人を上回る。つまり、10月の見出しの強さは、改定を入れてもなくならず、むしろ少し強くなる方向に動いた。
BLSの解説によれば、事業所調査の速報は、年次ベンチマークの改定までに2回修正される(10月28日の記事で確認した説明)。8月分は今回で2回目の修正を受けたことになるので、今回の+18.6万人は「年次ベンチマークの改定の前の、最後の月次の数字」と読める。ただし、年次ベンチマークの改定でさらに変わる可能性は残っている。今回の改定の理由は、BLSの技術的な注記までは読んでおらず、本稿では確認していない。
同じ発表の、ほかの数字
NFPは事業所調査、失業率は世帯調査と、別々の調査から出る。同じ発表に並んだ数字も拾っておく。
指標 | 9月 | 10月 | 変化 |
|---|---|---|---|
失業率 | 4.2% | 4.1% | −0.1ポイント |
失業者数 | 710.9万人 | 706.8万人 | 4.1万人減 |
労働参加率 | 61.8% | 61.9% | +0.1ポイント |
雇用人口比率 | 59.2% | 59.3% | +0.1ポイント |
平均時給(民間全体) | 37.86ドル | 38.00ドル | +14セント(0.4%) |
平均週間労働時間 | 34.4時間 | 34.4時間 | 変わらず |
(変化の列は、BLSの表の数字からの私の計算です。平均時給の前年比は3.1%。失業率は3月以降、4.1〜4.3%の範囲にある、とBLSは書いている)
NFPと失業率は同じ方向に動いた。失業率が下がったとき、参加率が下がっていれば「仕事を探すのをやめた人が増えた」という読みもできるが、今回は参加率も0.1ポイント上がっている。なお、世帯調査の就業者数は163,152千人から163,615千人へ463千人増えたが、これはNFPとは別の調査の数字で、NFPの+16.5万人と直接比べるものではない(私の計算です)。
産業別では、専門・ビジネスサービスが+7.0万人、医療が+4.2万人、運輸・倉庫が+2.5万人、製造業が+1.9万人だった。この4つを足すと15.6万人で、見出しの16.5万人の大半を占める(私の計算です)。BLSは、そのほかの主な産業は「ほとんど変わらなかった」としており、減少と明記された産業はなかった。
市場の反応:11月6日の引けと利回り
発表の初動(発表30分後の値)は、本稿では取得していない。ここに載せるのは、日次の引けの値だけである。引けには、雇用統計以外の材料も含まれる。
指標 | 11月5日 | 11月6日 | 変化 |
|---|---|---|---|
ダウ平均 | 51,523.06 | 51,285.73 | 237.33安(0.46%安) |
S&P 500 | 7,353.73 | 7,376.86 | 23.13高(0.31%高) |
ナスダック総合 | 24,315.00 | 24,579.42 | 264.42高(1.09%高) |
米10年債利回り(財務省) | 4.84% | 4.86% | 0.02ポイント上昇 |
米2年債利回り(財務省) | 4.46% | 4.51% | 0.05ポイント上昇 |
指数の11月6日終値と前日比(%)は市況報道の値で、ポイント差のうちS&P 500とナスダック総合は終値同士からの私の計算です。指数の終値は報道経由で、取引所や指数会社の公式の終値とは未対照である。利回りは米財務省の日次イールドカーブ(市場の終値ベースの指標)の値で、報道の利回りとは計算の系列が違うため、報道の数字は使っていない。
同じ11月6日には、前日に急落した半導体株の反発も報じられている。ナスダック総合の上昇は、雇用統計の結果ではなく、その反発の影響かもしれない。ダウは下がり、S&P 500とナスダック総合は上がったという方向の違いも含めて、引けの動きを雇用統計の結果と1対1で結びつけることはしない。
3つの読み間違いに注意する
読み間違い | 正しい読み方 |
|---|---|
予想を10万人上回ったので、雇用は強いと一言で決める | 予想は参考値で、媒体によってばらつく。強弱は改定と3か月平均まで並べて見る |
10月の+16.5万人だけを見て、8月・9月の改定を見落とす | 改定の合計は8.4万人で、見出しの約半分。8月は3回の発表で+16.2万→+13.3万→+18.6万人と動いた |
引けの株や利回りの動きを、雇用統計の結果が原因だと決める | 同じ日に半導体株の反発もあった。引けは1日の値で、原因は切り分けられない |
次の確認点は、11月10日(火)22:30(日本時間)の米CPI(10月分)である。次の雇用統計(11月分)は12月4日(金)の米東部時間8:30に発表予定で、その発表では10月分が改定される。
いまの自分のルール
NFPの見出しは、前の2か月の改定の合計と、3か月平均まで並べてから強弱を決める。
まだ分からないこと
- 今回の改定(8月+5.3万人、9月+3.1万人)の理由は、BLSの技術的な注記を読んでおらず、確認していません
- 8月分の+18.6万人が最終的な値かどうかは分かりません。年次ベンチマークの改定でさらに変わる可能性があります
- 11月6日の主要指数の終値は市況報道の値で、取引所や指数会社の公式の終値とは突き合わせていません(報道経由、公式終値未対照)
- 発表30分後の初動(利回り・為替・株価先物)は取得していません。載せたのは日次の引けの値だけです
- 市場予想はForex Factory 1媒体の表示値(2026年11月5日21:00 JST時点)です。媒体によってばらつきがあり、他の媒体の予想とは比べていません
- 11月6日の株価と利回りの動きのうち、雇用統計の結果の寄与がどれだけかは、1日の数字だけでは分かりません
Rirori's Eye
前日の夜に「見る数字は3つだけ」と書いたのですが、発表のあとに一番時間をかけたのは、その3つではなく、見出しの横の改定でした。8月は+16.2万、+13.3万、+18.6万と3つの数字を持つ月になり、表に並べてはじめて、その動きが目に入りました。予想を10万人上回ったという一文は強く見えますが、その半分ほどの8.4万人は、前の2か月の書き直しです。見出しを読んだら、すぐ下の表を開く。10月28日に書いたルールが、今回も同じ場所で効きました。
出典
- The Employment Situation - October 2026(USDL-26-1632)
- Daily Treasury Par Yield Curve Rates(2026年11月)
- Economic Calendar(市場予想の表示値、確認時刻は2026-11-05 21:00 JST)
- Stock market today: Nasdaq and S&P 500 rebound, Dow slips to cap bruising week for AI stocks
- Stock market news for Nov. 6, 2026
- Closing Bell: Nasdaq Gains 1% as October Payrolls Beat Forecasts and the Dow Slips
- 米雇用統計の見出しはどこまで読むか:8月の16.2万人増と、後から変わった数字


